サービス業に向く人・向かない人
- 人を喜ばせたい
- 人の力になりたい
この気持ちがポジティブに働くことによって、工夫やホスピタリティとして行動に表れます。
逆にこの気持ちがない人は仕事を心の底から楽しめずに苦痛な毎日を過ごすことになります。
初めて会った人、見知らぬ人に
と言ってもらえるのが接客業です。
最初は皆さんこういう気持ちを持って仕事を始めるでしょう。
ですが、売上や利益を追求し出すとこの気持ちは気付かぬうちに薄らいでいきます。
その結果、売上が下がり(そもそも上がりもしない)仕事が楽しくなくなる・・・という負のスパイラルに陥ります。
ネガティブ思考に陥ると
と自分の感覚で仕事を捉えるようになります。
結果を求めるあまり本質を見失う典型的なパターンです。
僕はこういう人を何人と見てきましたし、このタイプとは仕事ができません。
変えなければいけないのはマニュアルでもルールでも小手先の技術でもありません。
意識と行動を変えれば見える景色は100%変わるのです。
行き着く答えはすべて”人”なのです
知識や技術より人間性
”喜んでもらうために”を自分なりに工夫して考える。
これを実現する為に一体となって取り組む組織であれば、つまらない人間関係から生じる問題に時間を使ってる暇などないのです。
「お客様が何を求めているか?」を考えた時に、知識や技術ではなく心に響く応対こそが最も記憶に残る。
知識や技術が豊富にあっても心の適性がなければ対応できません。
”お客様にとってのベストは何か”
これを柔軟かつ俯瞰的に考えれる能力が接客業の一番のポイントなのです。
最初から優秀な人材を採用する
面接でいくら良いことを言って採用になったとしても、いざ入社してみたら「あれ?」と思うことも少なくありません。
期待通りの働きをしてくれればいいのですが、そうでない場合があります。
その状態では本人も会社も退社するまで苦労することになります。
リッツ・カールトンでは自分達が目指す理念や哲学を最初から明確にし、それに合った人材を採用する。
優秀なスタッフを集め、そのスタッフの行動パターンや考え方、発言を調査・分析をし、それらを30個の質問にまとめ質問形式で面接を始めます。
といった形で質問の答えに連続性を加えて掘り下げていきます。
これは僕も面接で使いますが、あらかじめ用意していた答えではなく自分の本当の答えを引き出す一つの技になります。
入社したいからと嘘を見抜くのにリッツ・カールトンではこのような面接を取り入れているのです。
20歳を過ぎた人は簡単に変われない
教育する方もされる方も辛いだけではなく、時間だけがかかっていきます。
元々の考え方や行動力、人間性が高ければあとはそれに技術や知識を付け加えるだけです。
年齢は経てば経つほど考え方や行動力が凝り固まっていきます。
自我が強くなり素直に聞き入れることが出来なくなります。
このお互い苦痛な無駄な時間を徹底的に削ぎ落とすことによって短時間で一人前のスタッフが育つのです。
この面接の甲斐があって退社数は格段に減り
心を大切にできる人かどうか
を80%以上の確率で見極めることが出来るようになる。
10人必要のところ8人しか採用できなくても、無理矢理2人を採用することなく、枠や席数、仕事を減らしても絶対に納得できる人しか採用しないというのもリッツ・カールトンの確固たる強みなのです。
トップやリーダーの仕事は目的地を伝えること
仕事というのは1人でやるものではなく、同じ方向に向かって力を合わせて取り組むからこそ成功できるものです。
トップやリーダーは
- 組織が目指す方向はどこか?
- 何を目的にしているか?
を明確にすることです。
いくら豪華な船でも、行き先がわからないミステリーツアーでは誰も乗船してくれません。
目的地が決まるからこそ、その過程もワクワク楽しい旅になります。
社員にもお客様にも
と伝えなければいけません。
という社員やお客様は乗らなければいいのです。
トップやリーダーは目的地や価値観を明確に示した上で、社員が楽しく働ける環境を整備し、お客様には安心して乗っていただけるように努めるのが役目なのです。
リッツ・カールトンの”魂”クレド
リッツ・カールトンには全てのスタッフが常に携帯することが義務付けられている”クレド”と呼ばれるポケットサイズのカードがあります。
リッツ・カールトンのことについて学んだことのある人は必ず知っていると言っていいクレド。
会社の価値観や行動基準が書かれているものです。
出典:東洋経済オンライン
日常業務の中でさまざまな判断を下す中で、行動する際の指針となるものです。
理念・哲学なしにマニュアルをつくっても、やらされているという気持ちになってしまいます。
これを全社員共有し、見るべき方向を同じにすることでブランド力が高まるのです。
従業員満足度
リッツ・カールトンのES調査(従業員満足度)では給料や休みが上位に入ることはないそうです。
が上位になり、これが会社に求める最優先事項となっている。
上司が部下を信頼して
と言い切ることによって
”サービスに魂が入る”
そしてお客様の求めているものとスタッフの行動が一致してくる。
上司としてダメな事はダメと言えなければいけませんし、お客様満足度(売上・リピート)が低いのに好きにやらせ続けることも難しい。
お客様も会社も喜べる行動なのか?
これを意識させる教育が従業員満足度を高め利益となって共に発展していくのでしょう。
最後に
最後に僕が体感した感想を書きます。
まず驚いたのが、若いお客様が多かったという事。
もちろん素敵な老夫婦などもいましたし、品のある方達ばかりでしたが、若い女性二人組や若い男性が1人で日経新聞を読みながら朝食を食べていたりとなかなか見ることのない光景でした。
「年齢はただの数字なんだな」と思わされました。
スタッフの方も顔見知りのお客様には
や
など、情報管理や行動範囲を全て把握した上で会話をしているようでした。
2日目の朝食にカフェラテを頼んだのですが、3日目の朝には
と言われ、
僕が
と応えると
と言ってくれました。
素晴らしい対応力でした。
飲み物がなくなったらすぐおかわりを聞きに来るところや空いた皿を片付けるスピード・・・
食べ終わって少しゆっくりしていると、
など、目配り気配り心配りが「これでもか」というほど”おもてなし”をしてくれました。
朝から優雅な気持ちで1日がスタートするのはとても素敵なことです。
僕は普段から早起きですが、ジムに行き、プールに入り、ジャグジーに浸かり、朝食をコースで食べ・・・それを全て最高な対応。
時間と心のゆとりが出来、気持ちの良いスタートを迎えられる。
リピートする理由しかない
備え付けの道具やアメニティーの質はもちろん
良い睡眠を取るためにターンダウンのサービスとしてベッド脇にチョコレートが置いてあるのもラグジュアリーホテルの特徴でしょう。
一流になりたければ一流なところに身を置かなければならない。
悩んだり立ち止まったら外から学ぶ。
成長が止まっているわけではない、自分が止まっているだけ。
全てを体感できた気がします。
お金を増やしたければお金を使って経験しなければいけません。
株も複利で増えていきますが、自己投資も同じく複利で増えていきます。
家と職場の往復では発見・成長はないと改めて感じました。
時間とお金の使い方、有意義な時間の買い方、肌で感じてリアルを見るという体感に感謝して、またその経験をするべく頑張ろうと決意した旅でした。