①当座資産から読み取るポイント
売上より利益、利益よりキャッシュ
売上を上げることに注力する余り、利益のことを考えていない管理者が多いです。
売上が多くても経費が上がれば利益が薄くなってしまいます。
売上より利益、利益より現預金(キャッシュ)を残すことが最優先です。
当座資産では前月との残高の比較でキャッシュの増減が分かります。
例:当座資産が増えていた場合
- 売上が増えたのか
- 経費が減ったのか
- その他収入があったのか
- 借金が終わったのか
例:当座資産が減っていた場合
- 売上が減ったのか
- 経費が増えたのか
- その他支出があったのか
- 返済が始まったのか
減価償却費・・・支出がない経費
借入金・・・売上にならない入金
借入返済金・保険積立金・・・経費にならない支出
当座資産の増減とキャッシュフローは毎月必ず確認しましょう!
当座資産はいくらあれば健全なのか?
当座比率を計算してみましょう。
当座比率=当座資産÷流動資産×100
この数字が
69%以下・・・危険
70〜89%・・・改善の余地あり
90〜119%・・・安全
120%以上・・・優良
となります。
①当座資産では、
現預金(キャッシュ)の増減だけではなく、お金の流れを確認し、当座比率を安全水準に保つ
これが見るべきポイントです。
②純資産から読み取るポイント
純資産とは資本金+利益の蓄積
この利益の蓄積とは繰越利益剰余金という勘定項目です。
会社がスタートしてから現在までの利益や損失を積み重ねてきた数字です。
金融機関でお金を借りるとき、一番最初に見られます!
純資産のところには
- 資本金
- 繰越利益剰余金
が記載されています。
例1:資本金1,000,000円で会社を始めて、現在の繰越利益剰余金が5,000,000円になった場合、純資産の合計は6,000,000円になります。
株価は当初の6倍になっていますから経営は好調に見えます。
例2:資本金1,000,000円で会社を始めて、現在の繰越利益剰余金が−2,000,000円になった場合、純資産の合計は−1,000,000円になります。
当初1,000,000円あった株価は0円になってしまいました。
これを債務超過と言い、こうなった場合銀行はお金を貸してくれなくなります。
事実上の倒産です。
自己資本比率を知る
純資産で重要なのは自己資本比率を知ることです。
自己資本比率で会社の健全性が分かります
自己資本比率の計算式は次の通りです。
自己資本比率=純資産の部合計÷資産の部×100
一般的に自己資本比率が
20〜39%・・・普通企業
40〜69%・・・優秀企業(倒産しにくい)
70%以上・・・理想企業(倒産しない)
となります。
中小企業は自己資本比率が30%以上ないと借入は厳しくなってきます。
②純資産では、
自己資本比率を確認し、いつでも借入ができる状況にしておく
これが見るべきポイントです。
③税引き前当期純利益から読み取るポイント
税引き前当期純利益とは税金を差し引く前の利益金額のことです。
損益計算書の結論の数字のため、いくら儲かったか・いくら損したかが把握できます。
この項目から読み取るポイントは2つ
- 納税額
- 借入返済の限度額
です。
2つのポイントを読み取る
納税額
法人税・事業税・都道府県民税・住民税を合算すると、税引き前当期純利益の約1/3が納税額となります。
借入返済の限度額
現在の会社運営で借入返済元金の金額が妥当か検証する。
良い例:
借入返済限度額・・・1,000,000
借入返済元金・・・500,000
残る現金・・・500,000
悪い例:
借入返済限度額・・・1,000,000
借入返済元金・・・1,100,000
残る現金・・・−100,000
利益が出ているのに返済元金を下回っている状態、
これを黒字倒産と言います。
※税引き前当期純利益がマイナスなのに借入返済している場合、急激な速さで現金が底を尽き倒産する・・・これが赤字倒産です。
返済可能額=税引き前当期純利益×2÷3+減価償却費
必ず借入返済元金を上回る運営をしましょう。
下回った場合、潰れるのは一瞬です。
③税引き前当期純利益では、
法人税等の納税対策をし、借入返済限度額を確認する
これが見るべきポイントです。
まとめ
①当座資産でキャッシュフローを確認する
②純資産で会社の体力(自己資本比率)を確認する
③当期純利益で納税資金と返済限度額を確認する
初めて聞くことが多い経営者の方も多かったと思います。
経営は続けるのが難しく、潰れるのは一瞬なのが経営です。
数字から読み取る力がなければ自分の会社が健康か病気かは発見できません。
病気は早期発見・早期解決で必ず治ります。
逃げずに立ち向かいましょう。
悩みを相談する人がいない経営者も多いでしょう。
数字に追われる上に労務や法律の問題もたくさん・・・
それに加え離職や退職などの問題も急に襲ってきます。
ですが、数字の見方がわかり、今の会社の状態がわかれば解決できる悩みもたくさんあります。
良い事ばかりが続かないのが経営です。
急な事態が起きても対処できるよう、健全で健康な会社経営を目指しましょう。